8月10日、亀梨和也(KAT-TUN)主演の音楽劇『青い種子は太陽のなかにある』が開幕した。作・寺山修司、演出・蜷川幸雄、音楽担当・松任谷正隆という天才・鬼才の豪華なコラボであり、寺山修司氏生誕80年、蜷川幸雄氏80歳というメモリアルイヤー。亀梨にとって蜷川演出は初体験、初のジャニーズ以外の舞台で、特別感あふれる公演だ。

今回は、オタ目線から『青い種子は太陽のなかにある』と主役の亀梨の魅力を味わうためのポイントを紹介する。ネタバレを含むので、まっさらな状態で観劇したい方は閲覧をスルーした方がいいだろう。

時代は1963年夏。場所は土と汗がむっと臭うようなスラム街。幕が開いてすぐは、アンダーグラウンドな世界観、キャストたちの異様な姿に戸惑うかもしれない。そして総勢約40名の歌と踊りがひとつになって客席に押し寄せ、圧倒される。物語の展開は早く、次々と見どころがあり飽きない。「蜷川氏演出舞台はレベルが高く難解」という先入観をもって観劇した方も、すぐ物語に引き込まれるだろう。

◆見たことがない亀梨に会える

亀梨が演じる役は、造船所で工員として働く若者、賢治。1幕の賢治(亀梨)の可愛らしさ、初々しさに、乞食や娼婦たちの目を覆いたくなるエロやグロやダーティーなアングラワールドが一瞬にして洗い流される。

例えば、仕事を終えて、オカリナを吹きながら好きな人に会えるのを待つシーン。シャイで優しい朝鮮人作業員と向き合いオカリナを吹く時の優しい表情。ヒロイン役の高畑充希(弓子)と初めて言葉を交わすシーンから、『舟の歌』『日がもしも沈まないなら』の歌にかけて、オドオド、ドギマギしながらぶきっちょに恋心を伝える賢治(亀梨)の様子は、レモンスカッシュのような清涼感が漂う。好きな男女がいつでも自由につながれない時代。ふたりの名前を秘密で彫った船が遠いヨーロッパを航海する様を想像する賢治。空がオレンジ色に染まる日暮れの短い時間しか会えない恋人同士のもどかしい気持ち。静かでしみじみとした、何度も見たくなる胸熱シーンだ。

そんなスラム街の人々を住まわせるための、ガス水道完備の鉄筋コンクリートのアパートの建設計画が進む。アパートの入居条件は夫婦であること。「もしも、もしもの話だけど」と、アパートでの暮らし、平凡な幸せを想像してウキウキする弓子がとても可愛い。

しかし、オカリナで心を通わせた朝鮮人作業員がアパートの建設現場で転落死して、壁に埋められるのを目撃する賢治。第二幕からは、賢治の心の葛藤を描く。真面目で正義感が強く、嘘や権威に抵抗し「自分だけよければいい」と割り切れない賢治の性格は、亀梨と重なる。もしも60年代に亀梨が生きていたら…賢治のような青年だったかもしれない。

この事件で頭がいっぱいになってしまう賢治は弓子とも気持ちがかみ合わなくなりすれ違う。何度か亀梨の目に涙があふれるが、ふたりが別れるシーンでも亀梨の涙が頬を流れた。

◆弦楽器のような歌声、研ぎ澄まされた演技

亀梨の声には特徴があり、線は細いが芯が強い。声を聞くだけで誰の声かわかるのは、歌手としてすごい強みだろう。弦楽器、強いて言えばビオラのような声質の少しかすれ気味のセクシーボイスが『舟の歌』『日がもしも沈まないなら』のメロディアスな曲によく合う。

この2曲は、二人の恋心を象徴する曲で、ソロやデュオで何度か劇中で歌われる。力強く歌いあげるのではなく、しゃべるように歌う。甘くロマンティックでせつないメロディーは幕が下りてからも耳に残る。その他に亀梨は『ブルース』と、父親役の六平直政との『賢治と彌平のデュエット』の2曲を、怒りや苦しい感情をぶつけるように歌う。

亀梨は、コメディや不良役、イケメン役、今どきのチャらい若者役なども演じているが、生まれながらの苦悩や孤独を心の奥に隠し持った役が似合う。昨今ではセリフではなく表情で演じる『妖怪人間ベム』、一人で33役を演じ分けた『俺俺』、本格アクションムービー『ジョーカーゲーム』、ホームドラマ『東京バンドワゴン〜東京下町大家族物語』、夜メロ『セカンド・ラブ』と、幅広い世界観、役に挑戦してきた経験を、この舞台で発揮している。

蜷川氏は、亀梨の演技を「屈折があるいい演技」と評した。父親役の六平直政は「和也は研ぎ澄まされている」と話している。そして、劇中で重要な役を担う烏山昌克は「亀梨君は〈聞く〉芝居ができる方なので、芝居をしていても楽しい」と、一人のアイドルとしてでなく、俳優(仲間)目線からコメントしている。

2005年から2012年まで座長を務めた舞台『DREAM BOYS』では、毎回命がけのアクロバットに挑み、座長として後輩、カンパニーを引っ張り、荷物を一人で背負っているようにも見えた。しかし、『青い種子は太陽のなかにある』では、個性派・実力派俳優や歌い手に混じり、今まで自分が学んできた経験を血肉としながら、しっかり賢治という役柄に向き合える環境を得て賢治を確立した。ヒロイン役の高畑充希は亀梨より年下だが、舞台経験が豊富で、その実力を認めリスペクトしている。また、映画で共演し、「充希」と呼び捨てにしてことからも気を使わない関係であることがわかる。気を使わない実力派の相手役を得たことも大きい。

気になるラブシーンだが、弓子のセリフから二人はキスをしたことはわかるが、キスシーンはない。マリーの誘惑に負けて、背中から乳房をわしづかみにするシーンが唯一のセクシーシーンだが、一瞬で我に返る。セクシーシンボル・亀梨は封印だ。

◆隅々まで熱い舞台。ここもチェック

「この芝居はお客さんに『どう思いますか』と問いかける作品」と亀梨が言うように、答は出さない。思いもよらない悲しすぎる結末には、涙する観客が多くいたが、観終わった後に割りきれない後味の悪さは残らない。絶望的だが、うっすらと太陽の光を感じる。

会場のBunkamuraオーチャードホールは、主にクラシック、オペラ、バレエなどを上演している。6列目が実質1列目となり、亀梨が舞台の前ギリギリに立ったり腰掛けるシーンもあり、前方の席は生々しい賢治を感じることができる。1階後方の席でも肉眼で顔の表情がわかり、急傾斜の八百屋舞台でキャストの動きが見やすく、十二分に楽しめる。椅子はゆったりして座り心地がよい。ホワイエでは、『青い種子は太陽のなかにある』のパンフレット(A4判、2000円)やシナリオ、亀梨が表紙の演劇雑誌などが販売されている。

亀梨は、1階の上手側の24番と25番の間の通路を3回通るが、その時に客席から手を出すようなマナーをする観客は当然いない。後方の客の背中が後ろの背もたれから離れ、客席の浮足立つ感じが見てとれる。

ついでのようで申し訳ないが、亀梨以外の部分も十分楽しめる。高畑充希の顔の小ささ、安定した清らかな歌声、マリー役の花菜の声域と日本人離れした歌唱、マリー(花菜)とサリー(マルシア)の歌の応酬、ベテラン俳優の味のある演技、柴犬の動きにいたるまで魅了される。

観劇前後や幕間には、オーチャードホール1階後方の扉から出た所に中庭に面してガラス窓が広がるビュッフェがあり、シャンパンやワイン、ソフトドリンク、サンドイッチなどが味わえる。また、ホール入口近くにある松涛カフェの、自家製ローストビーフのサンドイッチと松涛ケーキ(シフォンケーキ)は、筆者お気に入りのメニューだ。

上演時間は、休憩2回をはさんで終了まで約3時間30分。初日はカーテンコール3回、2公演目もカーテンコール、スタンディングオべ―ションがあった。

賢治が号泣しながら幕が下りるが、再び幕が上がると、そこにはファンがよく知る亀梨和也がいた。全部出しきり、やりきった達成感と安堵感にあふれるキュートな笑顔。鳴りやまない拍手のなか、美しいお辞儀と「ありがとうございました」の生声。賢治が亀梨和也に戻り、時代が2015年に戻った。俳優・亀梨和也の青い種子は、まだ芽吹いたばかりだ。

(ライター:佐藤ジェニー)

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